【Aコース:福島産業(しらすパーク)及び伊方風力発電所(二見風の丘パーク)】

1 福島産業(しらすパーク)
(1) 講話(要旨)
 平成3年の不漁と、漁場を取り巻く自然環境の変化から、それまでの「捕る」漁業から環境を守る方向として「育てる」漁業へ転換する必要性を感じた。
漁業生産については、都市近郊が有利ではあるが、地域の雇用を促進するために本社は伊方町に置いている。
 工場の目の前が漁場という環境を生かし、水揚げしてから15分後には工場の生産ラインに乗せ、1時間後には冷凍した状態にしておくという、量よりも鮮度優先の生産を行っている。太陽光発電やデマンド監視装置を利用し、環境にやさしい生産を心がけている。
 新たな取組として、今年春より、しらす養殖を、また、ワカメやアカモクなどの海藻の養殖も行ってる。
 環境教育活動については、工場見学や、しらすと一緒に網に入ってくるイカ、タコ、タツノオトシゴなどの海の生き物について学習する「しらすモンスター教室」の開催、地引き網や漁の体験を行っている。「食」を通じ、命の大切さを伝えることに重点を置いている。また、海岸清掃や植林活動など、地域を巻き込んだ取組も行っている。
(2) 工場見学
 水揚げされてから加工し、冷凍されるまでの生産過程を見学した。
水揚げされたしらすは、すぐに全自動窯に入れられ、讃岐の天日塩のみでボイルされる。その後、雑菌を増やさないように直ちに冷却する。製品の最終チェックは人の手で徹底して行われており、石や貝殻、異物はないか厳しく点検されていた。
 
   


2 伊方風力発電所(二見風の丘パーク)
 当日は、伊方町役場産業振興課の方に風力発電所の概要を説明していただいた。間近に見える風車を眺めながら、風力発電の研修を深めることができた。
(1) 風車導入の背景
 佐田岬半島は、年間を通じて風が強く、農業や漁業を基幹産業とするこの地域では、厄介者とされていた。が、この風を利用して地域振興を図ろうと旧瀬戸町が瀬戸農業公園に実用型風車を設置し、公園内の施設の電力源として利用すると共に、観光客の誘導素材として活用したのが始まりである。その後、それぞれの町で(伊方町・瀬戸町・三崎町)風力発電計画を進め、現在に至っている。
(2) 現況
 現在、58基の風車が佐田岬半島の尾根沿いに並んで稼働している。風力発電所の周辺には、風車公園を整備し、自然エネルギーの体験学習や誘客素材として活用している。また、二見での年間発電量は446kWhで、一般家庭の年間使用電力に換算すると、
約1050世帯になる。この電力は、売電している。
 今後の課題として、運転中のトラブル対策への迅速化や騒音防止対策などがある。